1. 世界最古の木造建築『法隆寺五重塔』や『首里城正殿』など
2020年12月24日(木)から開幕した東京国立博物館『日本のたてもの-古代から近世、日本建築の成り立ち-』を訪れました。
『日本のたてもの-自然素材を活かす伝統の技と知恵-』
国宝・重要文化財である模型を核として、これまで一般に公開されることのなかった貴重な建築模型などを一堂に集めて展示する『日本のたてもの-自然素材を活かす伝統の技と知恵-』。
『日本博』および『日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」』の一環として、2020年12月より3会場(東京国立博物館、東京国立科学博物館、国立近現代建築資料館)にて開催されるもので、東京国立博物館では『日本のたてもの-古代から近世、日本建築の成り立ち-』として、寺社や城郭、住宅など古代から近世までの日本建築の成り立ちを紹介します。
『唐招提寺金堂』1/10模型
エントランス正面には、7世紀に建設され世界最古の木造建築と言われる『法隆寺五重塔』をはじめ、『一乗寺三重塔』『石山寺多宝堂』の1/10模型が一堂に。『法隆寺五重塔』の内部には『塔本望像』も作り込まれているので正面から覗いてみましょう。
その先には、唐の影響を受けた奈良時代後期の様式を正規に表した名建築『唐招提寺金堂』1/10模型の模型を展示。明治時代の解体修理などの成果をもとに、製作されたもので、内部の構造がよくわかります。
『東福寺三門』1/10模型
室町時代建立の国宝『東福寺三門』の1/10模型。1978年の解体修理の成果に基づいて製作されたもので、特徴的な構造が表現できるよう分割模型として製造され、同時に二階内部の彩色模写も制作されました。
ほかにも『東大寺鐘楼』1/10模型、『春日大社本社本殿』1/10模型、松本城天守1/20模型など、外観や内部を見てもわからない全体構造や内部建築の仕組みなども一目瞭然。現地で実物を見るのとはまた違う楽しみが"学び"があります。
『首里城正殿』1/10模型
注目のひとつが、2019年10月に焼失した『首里城正殿』の1/10模型。尚敬王時代の1729年に建てられた琉球古建築の最大建築で『平成館 ガイダンスホール』に展示。
この模型は、戦前の首里城正殿の修理に従事した知念朝栄氏が、沖縄戦で失われた首里城正殿や沖縄の建築文化を後世に伝えようと製作したもので、沖縄県外への出品は今回が初。都内で見られる貴重な展示です。
国立科学博物館では『近代の日本、様式と技術の多様化』として、巨大化・複雑化する近代建築において、自然との調和や回帰を目指した多種多様な模型を紹介。
国立近現代建築資料館では『工匠と近代化―大工技術の継承と展開―』を開催。東京国立博物館と国立科学博物館の展示内容をつなぐものとして、大工技術を中心とした工匠の近代化について紹介しています。
コロナ禍で現地へは足を運ぶのが困難な状況のなか、3会場を訪れ、日本が誇る建築技術の歴史や文化を学んでみてはいかがでしょう。
(取材・文・撮影/落合 宏樹)