1. 映画『流浪の月』フレッシャーズ試写会「更紗と文のように粘り強く」
2020年本屋大賞を受賞した作家・凪良ゆうによる傑作小説を原作にした映画『流浪の月』(5月13日公開)が間もなく公開されます。
公開に先駆け、2022年5月8日(日)に、東京・神楽座にて、新社会人を対象にした『フレッシャーズ試写会』が行われ、ダブル主演の広瀬すずと松坂桃李が登壇し、フレッシャーズたちからの初々しい質問に答えました。
ダブル主演の広瀬すず(左)と松坂桃李(右)が登壇
客席には、この春に新社会人としてのスタートを切ったばかりのスーツ姿のフレッシャーズ(新入社員)52名。上映終了後に、主演のふたりが登壇しました。
広瀬は「同世代の皆さんに、この作品がどう映ってどう届いたのかが気になりますが、新鮮な景色です」と喜び、松坂も「新社会人の方々と、この空間にいられるのがすごく嬉しいです!」と声を弾ませました。
MCから「本作の撮影で初めてだったこと」の質問され、松坂は「李監督の作品に初めて参加させていただいて、李組の現場は、役と作品に没入できる環境があって。気づいたら、すごく疲れていました」と、李監督ならではの作品づくりを語ると、広瀬も「私も思いました。すごく良くわかります。体力も精神力も吸い取られる感じで」と同調した。
初めてのことについて広瀬は「本格的な血ノリが実は初めてで…毎日、血ノリをつけられていたのが思い出ですね。血ノリに憧れがあったので、血ノリしたな~、役者っぽいな~って(笑)」と、楽しそうに撮影当時を振り返りました。
「初めての現場では、とにかく聞きます」(松坂)
MCからの「初めての撮影現場(=職場)で心がけていることは?」との質問に、松坂は「とにかく聞きますね。わからないことだらけなので、早く自分も同じスタートラインに立てるよう、周りの人に聞きまくります」と回答。
広瀬は「私は、すごく観察します。その現場の特徴とか、スタッフさんの性格などが見えてくるので、初めは周りをすごく見てますね。早く馴染めるように」と回答した。
「最近は遠慮なく人に甘えちゃいます」(広瀬)
つづいて、会場に集まったフレッシャーズから、おふたりに質問するコーナーへ。「困難や壁の乗り越え方」についての質問に広瀬は「我慢しすぎず、自分のやりたいこと、好きなことに没頭する。あと、最近は遠慮なく人に甘えちゃいますね。甘えられる人を周りに見つけて。正直に『つらいです』って言いますね」と、自身の経験を伝えた。
松坂は「自分が壁を乗り越える時は、一度立ち止まりますね。『やらなくちゃ』と思いがちなんですけど、そこで勇気を振り絞って立ち止まるのも一つの方法だなと。立ち止まることで見えてくるものがあるので、それをピックアップしてやってみる。そうやって壁を乗り越えてきた感じですね」と自身の経験をもとに、アドバイスをした。
「『頑張らないでね、でも頑張ってね』という言葉を大切にしています」広瀬
毎日の仕事に緊張しているというフレッシャーズから、応援メッセージをリクエストされ、広瀬は「以前『頑張らないでね、でも頑張ってね』と言われたことがあり、その言葉を大切にしています。無理せず、自分のペースで、それこそ(作品の)更紗と文のように、周りがどうでも自分を見失わないことが大事なことだと思います」と作中での2人の生き方に絡めアドバイス。
松坂は「良い言葉ですね。新しい環境で、こわばってしまうと思うけど、頑張らないことを頑張ってみてください」と優しくエールを送り、会場から大きな拍手がおこりました。
「もし希望の部署に配属されなかったら、どう頑張ればいいのか?」という、リアルで切実な質問に松坂は「僕も『なんでこの作品やれないんだろう』と思うことはよくあります。でも、あとで考えると、別の作品をやったからこそ次の作品に繋がったと思える部分があるので、振り返ると最善の最短ルートだったなと思うんです。いい意味で割り切ったマインドで挑んだ方が、必ず自分に返ってくると思います」と具体的にアドバイス。
広瀬も「とりあえず目の前のことにしがみついていることが多いです。何年か経って『よかったな』と実感する機会が増えていて、きっと神様が『こっちの方が向いてるよ!』って言ってくれてるのだなと、心のどこかで感じながらでいいのかなと思います」と、同世代ならではの目線でエールを送った。
「仕事を辞めようと思ったことは?」との質問に広瀬は「私は、なんとなくお姉ちゃんの後ろをついていくという感覚が強かったので、いつ辞められるのか?って、しょっちゅう考えていました。楽しいのはファッションとかだけで」と新人時代を振り返りつつ「ただ、私は周りから比べられたり負けたりすることがとにかく悔しくて。とりあえず自分が勝つまで、絶対やってやろうと。気合ですね」と仕事を継続してきたモチベーションを明かした。
松坂は「僕も『なぜ、やっているんだろう?』という感情が、後ろからどーんとのしかかってくることが多々あります。若い頃は『事務所のために』というモチベーションだったけれど、最近ではクランクアップでの皆さんの喜ぶ顔を見たとき『このためにやってるんだな』と思えてくる」と、キャリアを重ねることで、やりがいを実感する理由や心境が変化した経験を明かしました。
フレッシャーズたちとの質疑応答を終えた松坂は「すごくいい時間!まだまだいけますね!こちらの背筋も伸びるというか、身が引き締まりました。こちらがエネルギーをもらった部分もあります。改めてこうやって直接言葉を交わすって大事だなと思いました。ぜひ『流浪の月』の感想をハッシュタグをつけて投稿してください。僕は全部見ます!」と作品を通じたコミュニケーションをお願いした。
広瀬も「本当に、すごくいい会ですね…。皆さんの見ている世界の視点を色々聞くことができて、同じ世代の一人として勇気をもらいました。更紗と文のように粘り強くたくましく、頑張って欲しいなと思います」と映画で演じた二人の名前を挙げ、フレッシャーズにエールを送りイベントは終了しました。
映画『流浪の月』は2022年5月13日(金)全国ロードショーです。
(c)2022「流浪の月」製作委員会
(取材・文・撮影/落合 宏樹)